転職ご相談事例

薬学部の教員に転職するチャンス。常勤ではないので、今後の見通しを含めて意見が欲しい

酒井さん
33歳、男性

先日、私立大学の薬学部の教員採用のお声がけをいただきました。卒業した大学が、非常勤もしくは任期ありの常勤で採用を考えているという話でした。教職経験はありませんが、後輩への指導を行うことも多く、「教える」ということに対しては魅力を感じています。

現在、救急対応をしている総合病院に勤務して2年目で、夜勤もある中で多彩な処方に触れています。多忙ではありますが、患者さんとの触れ合いもあるので、やりがいを感じることができる職場です。

雇用条件は、教職・現職ともに大きな開きはないようです。教職に就くと夜勤がなくなるので、生活リズムは整うかもしれません。

ただ、もし教職に就いても、継続雇用される保証はありません。

3年とか5年勤務した後、教職を離れて薬剤師資格を生かして転職をしようと思っても、仕事に就くことは可能でしょうか?

「売り手市場」といわれていますが、この状態がずっと続くわけではないですよね。また、現在多くの大学で定員割れをしている中で、大学の存続自体も不安材料のひとつです。

とはいえ、せっかくのお誘いですし、チャレンジしてみたいという気持ちもあるんです。

今後の薬剤師業界の展望も含めて、ドラおじさんの考えをお聞かせていただけますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

ドラおじさん
薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら

お問い合わせいただきましてありがとうございます。ドラおじさんです。

まず今回の転職ですが、見極めが難しいです。「常勤で安定雇用になるかどうか」というのがポイントだと思うのですが、その可能性が測れないのがネックですね。

もし契約更新されなかった時のことを考えると、ハイリスクな選択肢ではないでしょうか。

けれども、個人的には「大学勤務したい」という思いがあり、そちらの選択肢にワクワクするようであれば、大学勤務をおすすめします。

「40歳前後でも病院や調剤薬局で勤務できるか(大学から転職できるか)」という質問については、エリアによっては可能だと思います。5年後のことなので、あくまで現時点での予測です。

ただ、勤務地にこだわりがあると復帰は難しくなると思います。

その際、ネックとなるのが「病院のご経験が2年のみ」という点です。

これは、医療従事者としてのキャリアも2年のみということになるので、年収はあまり期待できないと思います。400〜450万円程度になることを覚悟してください。こちらはのちほど補足いたしますね。

「大学が存続するか」については、私の考えでは、大学は存続しますが一部統廃合が行われると思います。国の方針で薬局の数が4万〜約5万5,000に減ろうとしています。

つまり、薬剤師の需要が減ることが確定しているということです。

在宅医療に薬剤師がどこまで関われるかで需要が決定しますが、この点は未だ明確になっていません。薬局で不必要になった分を在宅で吸収できると良いのですが…。

上記を鑑みて、私は「必要数がそもそも少なくなる」という見立てをしており、結果として統廃合が行われると考えます。

では、生き残る大学はどのような大学かというと、「仕事に対していい姿勢を持てる学生を輩出できる」「新薬開発の一助を担える優秀な学生を輩出できる」ところだと思います。

仕事に対する姿勢は、薬局などが苦戦している部分です。スキルアップは促せますが、仕事への姿勢を醸成できず困っている企業は少なくありません。

「患者重視の姿勢で働きたい」「かかりつけ薬剤師になりたい」「在宅医療で活躍したい」、この3つの意志を持つ学生はニーズが高いといえます。また「新薬開発の一助を担える優秀な学生を輩出してくれる大学は価値が高い」というのはいわずもがなですね。

「薬剤師業界全体」については、薬局・ドラッグストア・病院・企業の市場感(転職について)を分けてお伝え致します。

「薬局」は変革期であり、診療報酬改定により減収必至の状況です。

今後の改定でますます厳しい状況になる見通しで、最終的には大手企業に集約されていくと私は考えています。昨今の流れを見ても、立て続けに約100店舗ある未上場企業が一部上場企業に買収されましたね。
大手企業に在籍していれば安泰といえますが、もし大手企業へ転職するのであれば早めがいいです。大手企業は新卒にも中途にも人気なので、早い者勝ちといえます。

「ドラッグストア」は成長期で、小売という側面が強く診療報酬改定の影響は軽微です。

勢いは凄まじく、薬局に集まっていた処方箋が近年ではドラッグに集まっており、大手各社は増収増益しています。こちらも大手企業に在籍していれば安泰といえます。

転職するのであれば早めがいいでしょう。

「病院」は安定期です。

クリニックは微妙ですが、病院であれば安定雇用といえるでしょう。病院で働くのであればNSTなど、何かしら委員会(チーム)に参加して経験を積んでおいた方が後々転職しやすくなります。

「企業」については、最近「EPファーマライン」などの「DI」が人気です。

こちらは採用数も多く希望者も多い企業として知られています。40歳頃に転職する際は受けていただくと良いかもしれません。

デスクワークがメインで、職場はコールセンターのようなイメージです。

基本的に企業は中途入社を積極的には行っていません。そのためご経験ある方でも、ブランクがあると転職しづらくなります。

しかしEPファーマラインは未経験者の採用も積極的で、最近話題にのぼることが多い印象です。

以上、長文となってしまいましたが、参考にしていただけますと幸いです。

ひとみひとみ
薬剤師、ライター。オランダ在住。(詳細はこちらのページで)

総合病院で幅広い分野の処方を扱い、さらに夜勤経験もお持ちとのことなので、臨床薬剤師としての経験は十分ありますよね。

でしたら教職の経験を積むのがよいのではないでしょうか。

病院薬剤師として活躍することはいつでもできますが、大学で教員として働くことは誰にもできないことです。貴重な経験を積めるので、このチャンスを逃さないでほしいと思います。

たとえ期間限定だったとしても、臨床薬剤師としての経験があるので転職は可能でしょう。また薬剤師は女性が多い職種なので、現場において男性は貴重な存在です。

男性の場合はあまり産休・育休は取得しませんし、子どもが風邪で急に休まないといけないというケースも少ないですよね。

また、パートではなくフルタイムで働いてくれることが多いので、雇用者にとってありがたい存在です。さらに、女性が多い薬局に男性が一人入るだけで雰囲気が大きく変わることは身をもって知っています。

そのような意味で、薬局では女性薬剤師よりも男性薬剤師の方が市場価値が高いと思います。

もし現場を離れるのが不安でしたらアルバイトを掛け持ちしてみてはいかがでしょうか。週に数時間働くだけでも全然違うでしょう。

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