転職ご相談事例

薬剤師を30代から目指すのって無謀? 将来が不安で手に職つけたいです

なつみさん
30歳、女性

はじめまして。私は大手人材会社で派遣社員をしている30代です。今更ながら、薬剤師の資格取得を考えているので相談させてください。

こちらのサイトで「40代で薬剤師を目指すのは無謀」という記事を読んだのですが、今から薬学部に入学して、30代から薬剤師を目指すのはアリでしょうか?

学歴は国立大の修士卒で、もともとは食品メーカーの開発職を希望していたのですが、就活がなかなかうまくいかず、希望の職には就けませんでした。
新卒で入社したのはIT企業のSE職だったのですが、あまりの忙しさと上司からのプレッシャーに耐えきれず、心身ともに体調を崩してしまいました。
その後しばらく療養し、今は派遣社員として働いています。

今1番不安なのが、自分の将来についてです。結婚の予定もないですし、両親も高齢ですし、非正規雇用の不安定な立場がとても不安です。そこで、何か資格取得をと考えたときに薬剤師が思い浮かびました。

求人を見ていても、薬剤師はパートで時給2000円以上など、かなり好条件に思えます。深夜残業もなさそうですし、町の薬局を見ていると30代から40代位の女性がたくさん働いているので、働きやすい職場なのかなと思っています。

もともと理系の学部を卒業したこともあり、理系の勉強は苦ではありませんし、6年間の学費は自分の貯金と親からの借金で何とかなりそうです。

ドラおじさん
薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら

絶対に辞めたほうが良いです。

なつみさんがこれから大学受験をして31歳で入学して、運良く、本当に運良くストレートで国試に受かったとしても、薬剤師になれるのは最短で37歳ですよね。あと7年も経ったら、薬剤師の世界は今(2020年)とは一変しているはずです。正直なところ、どうなっているか私にも分かりません。

例えば、ふつうに調剤をしているだけでは年収400万円に届かない世界もあり得ます。また、薬局もその頃には今よりだいぶ減っているので、薬剤師資格を持っているだけでは就職すら出来ないかもしれません。しかもライバルは、24歳で、体力が有り余っていて、乾いたスポンジのごとく何でも吸収できるピチピチの新卒です。そのときのなつみさん、ほぼ40ですからね……。

ただし全く可能性がないわけでもなく、下記3つの条件をすべて満たしているのであれば、目指して頂いても良い、かもしれません。

  • 在宅医療に携わることに抵抗がない
  • コミュニケーションに接客業ばりのホスピタリティを求められても問題ない
  • 勤務地が、何もないド田舎になっても問題ない(全国転勤可だと尚良し)

この3つのうちどれか1つでも無理そうであれば、今から薬剤師を目指すのは辞めましょう。1,500万円もかける意味がないです。

ちなみに、こちらの記事では「准看護師を目指すのもアリ」と説明していますが、なつみさんにはおすすめしません。看護師というのは相当にキツい仕事なので、SEで体調を崩している方には無理だと思います。看護とか、あと介護とかのお仕事は、間違っても選ばないほうが良いです。

なので薬剤師になるという選択は一定、合理的だなとは思うんですけど、とはいえ、ねぇ……。しかも今から薬剤師を目指しちゃうと、方向転換がきかないですからね。片道切符なんで。やっぱり原則、おすすめしないですね。

すなめりすなめり
薬剤師、調剤併設ドラッグストア勤務。管理薬剤師経験あり。プライベートでは3人の子を持つワーキングマザー。

なつみさん、はじめまして。薬剤師の仕事に興味を持っていただけて嬉しいです。

「何とかなりますよ!ぜひチャレンジしてください!」……と言いたいところですが、私だったらチャレンジしないかなというのが本音です。
ただ、6年間(もしくはそれ以上)の歳月と、多額のお金を失う覚悟で、人生を賭けた大博打というのなら止めません。

私は都内の私大薬学部を卒業したのですが、社会人入試の枠があったので、200人中5、6人が、なつみさんのように社会人を経験してから薬学部に入学した人たちでした。 30代から40代が中心だったかな。

皆さんとても勉強熱心で、どんなにつまらないクソみたいな講義でも、最前列に陣取って熱心に受講していたのを覚えています。授業の時間以外にも、朝早くから学校に来て自習していたり、昼休みも、ご飯を食べ終わったらすぐに勉強って人が多かったです。

でも、ぶっちゃけ、成績は皆さんあまり上位ではなかったんですよね……。あんなに勉強しているのにどうしてだろう?と当時は疑問に思ったりもしましたが、自分が30代になった今なら分かります! 脳細胞って、マジで衰えるんです……。

昔なら一度聞いたら覚えられたようなことが、まあ覚えられない!メモしても、メモしたこと自体を忘れるし、電話なんか、切った瞬間に内容を忘れます。(笑)

だから、一般入試で入った10代、20代前半の学生と同じ勉強量ではダメなんですね。すべての時間を勉強に注ぎ込む覚悟でやって、何とかカリキュラムについていけるかどうか……という感じだと思います。

薬学部の勉強って、基本的には暗記です。必要なのは、地頭の良さよりも暗記する能力なんじゃないかと思います。そこに自信がなければ、絶対にやめておいた方がいいです。

希望の光としては、私の出身校の社会人入試の方々は、全員6年間でストレートに卒業。更に、国家試験も現役で合格しています。
人生をかけて本気でやれば、決して不可能ではないと言うことですね。

だけど、もし私が同じようにチャレンジするかと言われたら、正直そこまでの勇気は出ません。

なつみさんは、SEの経験があるのであれば、その知識を生かして正社員の仕事を探してみてはいかがでしょうか。プラスアルファで、今流行りの副業にチャレンジしてみるのもオススメです!

私はWEBライターとしてちょこっと副業しているのですが、金銭的にゆとりが出るのはもちろん、本業ではできないような仕事や、関わらない人と一緒に仕事ができるのが、とても楽しいです。

薬剤師にこだわらず、自分のできること、やりたいことを探してみてはいかがでしょうか?

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